2007年9月アーカイブ

 米マイクロソフト社は、ロボット開発に本腰を入れるらしい。同社は2006年5月に、簡単な作業を行えるようロボットを制御するプログラム技術「マイクロソフト・ロボティクス・スタジオ」のプレビュー版を発表している。開発に取り組んでいるのは、総勢9人のチーム(2006年5月)である。WindowsでパソコンのOSの世界制覇を果たしたので、次はロボットのOSで同じく世界制覇を狙おうという意図か?マイクロソフトはロボット市場が、数十億ドル規模になるにはあと10年はかかるだろうと見ているので、このプロジェクトは新しい市場に対する先行投資だという。
 また、ITpro(2007.09.07)にマイクロソフトがロボットに本腰という記事があった。日本のロボット開発会社テムザックがマイクロソフトのロボット開発プラットフォーム「Robotics Studio」でロボット制御用ソフトウェアを開発し、大学などにRobotics Studioの採用を呼びかけるとのことである。

 ロボット先進国たる日本はロボットプラットフォーム構築の面でどのような準備をやっているのだろうか?多分、日本の色々な研究機関(官、学、企業)では、過去から現在まで米国と同等以上のロボットソフトウェア開発の実績があり、多くのソフトウェアをもっているに違いないが、世界標準に育ってゆくような進め方をしているのだろうか?それとも再び米国勢に先行を許してしまいそうな状況なのか?マイクロソフトがWindowsを世界標準にしたような進め方を、日本の何処かのメーカがやって欲しいものだと感じる。ソフトウエアシステムの開発は時間がかかる。だから、早く開始した組織が有利になる。
 産業用ロボットなどから成る生産設備に組み込む通信インターフェースソフトORiN)をロボット工業会が中心になって開発した成功例もある。この場合は大学と複数の企業が協力して作り上げた。
 しかし、ロボットオペレーティングシステム(ロボットOS)の場合は、さらに大掛かりなソフトウェアになる。大規模なソフトウェアを一貫した設計思想の元に作り上げてゆくにはどうしたらよいか?
 ソフトウェア開発ではアメリカが圧倒的に強いが、ロボットはパソコンの場合よりもソフトウェアがハードウエアに依存するところが多い。ロボットの利用経験では日本はアメリカをリードしてる。この経験を組み込んでゆけば世界標準も不可能ではない。
 
 よくロボットの開発には人工知能(具体内容が不明確)の研究が必要といわれるが、それはそれとして、それとは別に、パソコンにおけるWindowsのように、ユーザがロボットとその環境(周辺機器、パーツなど)を自由自在に使える環境がまだ出来ていない。マイクロソフトはそこに目をつけたのだろう。過去数十年の間に先行研究例は多くある。目標はよかったが途中で放置されてしまった開発例が多い。Stanford大学のAL言語、米国サンディア国立研究所のArchimedesなどすばらしいものも多い。マイクロソフトの研究開発が刺激になって、この分野のロボットソフトウェアの研究が活性化されることは大変に喜ばしい。

 追記:
 本ブログの06年06月21日の項で書いた「機械組立て手順の自動生成」や生産システム設計に関する自動プログラミングの研究(3DCGの活用など)と密接に関連してくるので、国家プロジェクトとしてやるべきとも思われる。これが完成すれば現在の産業用ロボットがもっている生産準備や変更に最大一年もの時間がかかるという欠点が解決でき、例えば最大一ヶ月くらいに短縮できればロボットによる自動化が一層広く展開するであろう。モノづくり先進国家を標榜する日本としては、このような面にもっと国家予算を当てて、世界に先駆けた技術を獲得し、将来の国の富の元を確保すべきではないのか?

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