川崎重工(株)からco-robot(製品名デュアロ)が発売された。双腕型co-robotはいろいろ発表されているが、発売されたのは、川田工業のNexstage,米国Rethink Robotics社のBaxter、安川電機のヒューマンアシスト、スイスのABB社のYuMiに継いで5種目である。
特徴的なのは水平多関節型(スカラ型)を採用した点であり、co-robotとしての特性はすべて備えているようである。狙っている市場は、電子電気関連、自動車・食品関連も見込むが、主たる狙いは中小企業(中小量生産)での利用という新しい市場であり、その展開が期待される。co-robotとしては初めてのスカラ型双腕型であるが、垂直多関節型双腕co-robotとの競争力はどうであろうか?デュアロの価格は約280万円で、Baxter(垂直多関節型、片腕7軸)の価格の22万ドルとほぼ同じで、安価に設定してある。
少し気になるのは、高速動作に特徴のあるスカラ型を、人と同程度の速度での仕事を期待されているco-robotとして仕上げた点である。現状の産業用ロボットが対応できていない残りの90%の作業の自動化を狙うco-robotとして、製品化するのは少し思想がずれているような気がする。単腕型の産業用ロボットの機構別の利用比率(Mizuho Industry Focus Vol.150, 2014年3月28日)は垂直多関節型6割、直交型2割、水平多関節型(スカラ型)1割、その他1割とのデータがある。co-robotとして狙うべきは第一にはやはり垂直多関節ロボットではないのか?
しかし、川崎重工は相当強気である。引き合いが非常に多く、年産5000台以上は十分狙えると主張している。私は実際に見たことはないが、スマートフォンなどの組み立てラインは比較的平面的な組み立てが多いと想像される。このような生産ラインに従事する作業者は、全世界で100万人規模で、組み立てラインなどは数千本もあるというデータもある。川崎重工の強気もわかる気がする。
川崎重工のスカラ型双腕co-robot 「デュアロ」、
可搬質量片腕2kg、4~6自由度
日刊工業新聞のBusiness Line(6月4日)から引用