南極の大氷塊が流れ出し、アルプスの氷河が溶け、ヒマラヤの氷河が後退し、シベリヤの永久凍土が溶け出すというように、人類史上かって存在しなかった大変化が目の前で起こっているというのに、人類は石油や石炭を燃やす事を止めないどころかますます増やし続けている。人類の破滅というのはこのようにして訪れるものなのかと不安になる。地球シミュレータが100年後でも平均気温上昇が1から2度Cで人類の破滅が訪れることはないですよなどというものだから皆安心している。シミュレータの結果を過信してはいけない。シミュレータの計算条件に入っていない事象によって計算結果が大きく変わることはしばしばあることなのだ。シミュレータとはその程度のものなのだ。安心してはいけない。
10年ほど前だったか、「琵琶湖の面積にすべて太陽電池を敷き詰めると、その発電量は日本の電力需要をすべてまかなうことができる(注1)」と聞き、その能力に感心したことがあった。さて現状はどうか?日本の導入総量は2004年で約270MW、ドイツが約360MW、世界全体では750MWくらいだそうだ(参考:日経エレクトロニクス3-13、2006)。中部電力の知多火力発電所には1号機から6号機まであるが、6号機の発電量は854MWだから、太陽光発電の世界総発電量は6号機1台分に近づいてきたわけだ。太陽電池による総発電量の成長率は2004年は56%だった。これには大いに期待がもてる。このまま行けばあと4年弱で知多火力の総発電量3,966MWを追い越す成長振りだ。
この急成長にはドイツの普及政策の成功が関係している。個人や企業を問わず、太陽電池で発電した電力を通常の電力価格の約3倍の高値で電力会社が買い取ってくれる。その資金として国民は毎月の電力費として、本来の価格に2~3%上乗せして電力会社に払うという仕組みである。この政策でドイツの太陽電池導入速度は急増しているらしい。太陽発電がビジネスとしても成り立つようになり、設置例が急増している。このような現実的なやり方は、人類の英知に期待を持たせるものだ。人類は破滅せずに済むかもしれない。このような良い政策は日本も積極的に真似たらよいのではないか?
注1:別の情報では「2000年の全世界のエネルギー需要は、砂漠の総面積の4%807km四方の太陽電池パネルで賄える」。