ジェームス・キャメロン監督の最新作「アバター」を観にミッドランドスクウェアまで出かけた。3D映画やアバターという設定に興味を感じたし、10年近く前に見たアイマックスシアター(注1)の大画面(上下も広い)の3D映画からどれだけ進化したかを知りたかった。
注1:サントリームジアム天保山(地下鉄中央線大阪港駅下車)にある3D映画館
「アバター」は3D映画で実俳優とCG俳優(ナヴィ)が戦う映画である。アバターとは化身の意味で、実人間が仮想空間で別の人物(化身)になって生活する。映画では主人公が仮想空間ではなくて実空間で実体のある化身として活躍する。このアイディアは面白い。
あらすじは、地球の自然を破壊した人類がナヴィという未開の人類(人間の2倍くらいの身長)が住むパンドラ惑星に軍隊を送る。地球軍は先住民のナヴィから資源を奪おうと攻撃する。しかし、最終的には地球軍のやり方に反感を持った地球軍の兵士の一人がナヴィ(化身)となり、ナヴィのリーダになって地球軍を追い払う。このあたりで感動的な場面がある。
さて、内容の感想を述べたいと思う。アメリカ人が好きなSF的戦争場面の多い映画であるが、米国人が心の負い目として持っている心情をすべて表現したような内容になっている点が興味深かった。第一に、米国大陸の先住民たるインディアンから土地を奪って辺地に追いやった罪悪感。第2にベトナム戦争などで巨大な兵器と軍事力で住民を殺した罪悪感。第3に、そのような過去から離れて自然の中で人と人とのつながりを強く持って平和に生きたいという願望。それらをすべて盛り込んだSF映画に仕立ててある。エンターテインメントとしては成功していると思う。
最後に、3D表現の効果は期待はずれであった。2D版を比較して観ていないので正確には解らないが、通常のスクリーンを使っていることが原因ではないか?最後部の座席で見たことが不利だったかも知れない。画面の中に観客が取込まれてしまうようなアイマックスシアターの大画面(上下も広い)で観る3D映像と比べると迫力はおちる。3D映画の真骨頂は観客と画面の相対な位置関係と大きさを工夫しないと得られないと思う。3D映画をメジャーにするにはスクリーンや座席を変えねばならない。