日本のロボット研究者は30-40年間、企業や国の研究費を使って研究してきた。その結果、産業用ロボットでは世界一の利用実績、介護ロボット技術でも世界で最も実用化に近づいていると思われる。
そんな状況の中で福島第一原発の大事故が発生した。事故を収斂させるために多くの技術者が被ばくの危険性の中で作業している。作業ロボットがあればそのような危険を冒す必要はなかったのだ。これから事故を収斂させるためにまだ多くの危険作業が残っている。今からでも遅くはない。作業のできるロボットを開発してもらいたい。高放射線下で配管を接続したり、除染用フィルタを交換したり、・・・・などができる作業ロボットである。「無線操縦+自立作業」型でよいと思う。
技術というのは必要性と使える場と予算があれば進む。人材については日本の場合十分にいるはずである。現実の問題を前にしての研究ならば、ロボット技術が急激に進歩するに違いない。ロボット技術にとって今はチャンスなのだ。現実の対象は技術に妥協を許さない。自分で現実性のない土俵を勝手に作り、その中でできたと喜んでいるような研究は許されないのだ。
このロボット技術が開発されれば、それは原子力発電所だけでなく、広い分野でのメンテナンス作業、たとえば、橋梁の補修作業などにも使うことができる。米国では宇宙衛星基地での作業用に作業ロボットの研究をNASAやGMが共同してやっている。日本も負けてはいられない。国の研究機関、大学、企業が力を合わせて研究する具体的で挑戦的な対象が目の前にある。