民主党の現政権は独自の政策をほとんど捨てなければならなくなっている。野田首相は「コンクリートから人へ」の立党精神に基づいて、たとえば、後期高齢者保健を廃案に追い込もうとしたが、自民党(および全国知事会)の反対のために実現できないでいる。
結果的に、三党合意では自民党の政策を推進するという変な形になってしまった。何故、こんなことになってしまったのか? それは民主党の政策が国の予算の中で実現可能かどうか精査せずに主張されたものであったという点が根本原因であった。民主党の政策立案能力のなさ、いい加減さがこれほどひどいとは想像すらできなかった。民主党はもっと、精査された実現可能な政策を作って再出発すべきである。コンクリートから人へという甘いキャッチフレーズに喜んで、実現性に疑いを持つことなく、民主党に票を投じたわれわれ有権者にも責任がある。
日本の政治が情けない状況になっているのは、政治家がだらしないというよりも、有権者がだらしないということではないかと思う。維新の会、減税日本などからの候補者についても、同様な恐れなしとは言えない。維新の会の主張なども十分に精査したうえで投票しなければならない。無責任な投票をすれば、苦しむのは投票者であることを肝に銘ずべきである。短期に日本の政治をよくすることなどありえない。日本の政治の成長は有権者の成長によって初めて実現されるものであろう。