スポット溶接、アーク溶接、塗装、ロードアンロード分野などへのロボット応用は自動車製造業を中心として進んだが、最も多く作業者が働いている組み立て分野への応用は、大きな期待(注1)に関らず進展は遅い。1980年代には家電製品の最終組付けラインへ多くの水平多関節型(スカラ型)ロボットが導入されたことがあったが、最近ではそれらの大部分が撤去されたと言われている。理由は家電製品の短命化が進んだために、製品の切り替えにロボットラインが対応できなくなったことである。短期にかつ低コストで新製品の組み立てに対応できた作業者を中心とした「セル型生産システム」に取って代わられてしまった。
自動車製造工場でも1980年代後半に、最終組付けラインへロボットを導入しようといろいろ実験されたが、ロボットによる機械組み立て技術が未熟で、変種変量生産に対応できず、多くは撤去を余儀なくされている。
写真:ソニーでのロボットによる家電組み立てライン
写真:手作業が中心のセル型生産方式
注1:
(米)スタンフォード大学コンピュータサイエンス学部では、1970年代に人工知能の研究の一環としてロボットによる機械組み立てが研究された。これら研究の中からPUMAなどのロボットの原型が作られた。それ以降、世界の研究機関でロボットによる組み立て研究がなされたが、実際の組立工場がロボット化されたという例は少い。
コメントする