デジタル家電やパソコン、ネットワーク通信などに関して最近の技術進展を見ていると画期的なものは無く、そろそろ飽和状態に近づいているといった印象である。大きな変化はインターネットを使ったサービスの分野で起こっている。この分野で今後さらに大きな進展が予想されるということを梅田望夫氏がその著作「ウェブ進化論」で指摘している。
また「デジタル技術の革新は最初はハードウェアやネットワークなどのインフラで起こり、それらが充足されてくると、次の革新の中心はコンテンツの開発に移ってゆく」とNTTの安田浩さんが言っていたことが今起こっている。ここでいうコンテンツの開発とはデジタル化された音楽・映画や新聞・放送・書籍の配信というよりも、インターネット空間での新しいサービスの実現という形で起こっている。パソコンからEC(Electric Commerce)関連などの色々なサービスを受けることができるのは、現在では当たり前のことであるが、さらに新しいサービスが実現されるというわけである。
梅田さんは、マイクロソフトのOfficeに代表されるような「こちら側」(パソコン側)のサービスからGoogle Searchに代表されるような「あちら側」(サーバ側)のサービスに重心が移ってゆくという。アプリケーションソフトウェアをパソコン側にインストールして使う現在の形から、サーバ側にインストールされているソフトウェアをパソコンのWebブラウザを介して使うという形への転換である。
Google Search,G-Mail,G-Worldなどがその例であり、さらにWord,Excelのようなソフトウェアも同様に使えるようになるらしい。
確かに、ユーザのパソコン負荷が軽くなることは望ましいことではあるが、私は家庭のパソコンがネットワークのあちら側のサービスを受けるだけのシンクライエント・パソコンになるという考え方には賛成しかねる。家庭のパソコン自体がネットワークの「あちら側」として使えるように、サーバ化してゆくというのが正解だと思う。現在既に、自宅のサーバにウェブログのアプリケーション(例えばMovable Type)を入れておけば、外出先から日記を書いたり、写真をアップしたり、日記の検索をしたりできる。また、ケータイを使って自宅のパソコンに入っている写真や映像を外出先で観られるサービスも始まっている。ネットワークの「あちら側」にある自宅のパソコンのサービスを使うことができているわけであり、これらの機能はもっと広く展開してゆくに違いない。
コメントする