今日は焼岳に登り中ノ湯温泉に下りる予定。今日も上天気だ。焼岳(標高2430m)は日本アルプスで唯一の活火山である。1915(大正4)年 に噴火 (水蒸気爆発)し、泥流によって梓川がせき止められ大正池が形成された。また、1962年(昭和37年)にも水蒸気爆発に伴う噴石で負傷者が4名でた。頂上近辺ではいまでもガスが噴出し、南峰は立ち入り禁止である。
朝5時30分に山岳研究所を出発し、梓川沿いにある登り口(1495m)から登山道に入る。標高差935mを登る。最初はシラカバやダケカンバの林の中である。しばらくすると左側に峠沢が見える。沢はガリーと呼ばれる浸食谷で、火山灰(または泥流)が堆積した斜面を水の流れが削り取ってできたように見えた。頂上には溶岩ドームが見える。
写真:峠沢(7時40分)。(以下、カメラはPanasonic DMC-FX9)
先に40人ほどのグループが登っており、梯子などで渋滞し、なかなか進めない。予定時間より遅れて小屋に到着。
写真:新中尾峠にある焼岳小屋(8時32分)(2080m)
中尾峠展望台(2130m)から見える笠ヶ岳は、深田久弥によれば「笠ヶ岳の金字塔がこんなに立派に見えるところは他にない」そうだ。峠では盛りを過ぎたヤマハハコを見かけた。近くの草むらに蒸気を噴出している直径40~50cmの穴が2個あった。噴出音はするが噴気は見えず硫黄臭もあまりない。活火山らしい顔が見え始めた。
写真:中尾峠展望台(2130m)から見た笠ヶ岳(8時56分)。
岩場にさしかかった辺りにはっきりと噴気が見えるガス噴気孔があった。硫黄臭があり周辺の岩に黄色の硫黄が付着している。ガスの大部分(99%以上)は水蒸気。
参考:火山ガスが硫化水素や亜硫酸ガスを比較的多く含む場合,これを硫気という。これらを噴出しているところが噴気孔または硫気孔である。
写真:ガスの噴気(9時21分)
溶岩ドームの裾を巻いて登る。このドームは約2000年前の噴火でできたとされる。
写真:溶岩ドーム(9時48分)。
峠沢とは異なり溶岩流の断面が露出している。
写真:溶岩流(9時54分)
北峰頂上直前にある噴気。規模は今までで一番大きい。風が噴気を登山道と逆方向に押し流しているので濃い噴気を吸わずに済んでいる。
写真:北峰頂上直前にある噴気(10時01分)
焼岳北方頂上(2444m、上高地からの標高差は949m)に到着。展望は良く、槍ヶ岳の他にも上高地や穂高連峰などが真近かに見える。
写真:焼岳北方頂上から見える槍ケ岳と穂高岳(10時17分)
頂上には中高年女性が多い40名くらいのグループが先着しており、座るスペースを見つけるのに苦労した。標識には標高2455mとなっているが、これは南峰(2455m、登頂不許可)の標識を流用しているのか?下山は中ノ湯温泉に向かって、急勾配の岩場を下りてゆく。
写真:焼岳北峰頂上(2444m)(10時33分)
1持間ほど下るとリンドウ平(約2000m)と呼ばれる開けた広場に出る。ここまでの下山道沿いでもリンドウを見かけたが白山で見かけたリンドウより花が小ぶりだ。広葉樹の紅葉はまだだ。振り返ると焼岳南峰(2455m、左のピーク)、北峰(右のピーク)がよく見える。リンドウ平以降は樹林帯を下る。
写真:リンドウ平(11時48分)
中ノ湯温泉(1500m)まで下りた後、ヘヤピンカーブの自動車道(158号線)を1時間ほど歩き14時00分に中ノ湯バス停(に到着。バスでアカンダナ駐車場まで行き、デポしてあった車に乗って「神ノ湯」温泉(露天風呂、中ノ湯温泉の源泉)に行き、汗を流した後帰路に着く。天候に恵まれ体力的には楽な山行であった。
梯子や岩場が多かったのでストック(2本)の扱いに苦労したが、長い梯子ではザックに仕舞ったり、急な岩場では畳んで片手で2本持ったりしてしのいだ。勉強になった。