現実的なアプローチ

| コメント(0)

 これまで述べたように、組立て作業記述による生産ライン(またはセル)の制御の自動プログラミングは研究が進展しておらず、できるようになっていない。相変わらず人がプログラムを作成するしかない。この作業を生産ラインシミュレータやロボットシミュレータなどを使って支援するというのが現在のレベルであり、このレベルでは生産準備時間を家電製品や一部の自動車部品などに要求されているレベルにまで短くすることは絶望的である。
 
 生産準備の仕事を簡単化して列挙すると(実務の経験がないので筆者の想像である)、
 1)生産条件の決定(製品の種類、生産量、生産コスト、生産準備時間など)
 2)生産ラインの工程設計
 3)設備設計と設備製作
 4)設備の設置
 5)設備の制御準備(ロボット、PLCなどのプログラミングなど)
 6)試運転とデバッギング
 7)生産の立ち上げ

 これらのうちでロボットなどの作業プログラミングに関連するものは、2)、3)、5)であろう。これらをコンピュータ支援のもとで手作業で行うことになる。
 コンピュータ支援は
生産ラインシミュレータロボットオフラインシミュレータを利用して行う。ロボットオフラインシミュレータを利用するには、製品(部品)や設備の3D-CADモデル(ソリッドモデル)が準備されていることが前提条件となる。部品間の接触や衝突を検出するために部品のソリッドモデルが必要なためである。現実にはこれらが準備されていない場合の方が普通で、そのような設計インフラをまず作ってゆく必要がある。このようなインフラがあって初めてコンピュータによる生産準備支援システムが有用になる。
 

コメントする

このブログ記事について

このページは、essahoiが2006年6月 6日 18:18に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「生産設備準備のリードタイムを短縮するための研究」です。

次のブログ記事は「機械組立て手順の自動生成(米国サンディア国立研究所での開発例)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。