Foxconn は昨年くらいから10,000台の産業用ロボット(内製ロボットのFoxbots)をiPhone6sの生産ラインに導入中である。その目的は作業員の作業環境の改善や、一層の生産増強である。しかし、Foxbotsは製造ラインの最終ステージの作業者の仕事をロボットで置き換えることが、まだ出来ておらず、全ロボット化の作業は遅れている。
Foxbotsは単純な繰り返し作業は容易にこなすが、作業者が持っている知的な認識能力を持っていないので、品質の制御やラインの最終ステージでの美的品質を保証する作業の能力は、作業者に遠く及ばない。しかし、知的認識の技術の進歩は早いので、遠くない将来にロボット化が可能になるだろう。
したがって、しばらくは、製造ラインの中で、ロボット化が困難なステージには作業者が残り、完全自動化できているステージと混在したライン構成で進める、というのが現場の担当者の見解である。(出典;Neowin, Sep 10, 2015 :"Foxconn can't fully automate its factories yet,says humans are still important")。
上記は、ロボット化を進める上で当然予想される結果であり、日本でも、たとえば富士通周辺機器(株)ではタブレット組み付けの自動化をこのような進め方で行っている。ロボットでは難しい工程や人間による官能評価が必要な最終組立工程には作業者が入り、完全自動化はまだ出来ていない。如何に全自動化に近づけるか?が今後の競争点となる。
それ以外に重要なポイントは、生産管理上の問題であり、ラインに流す製品の変種変量生産に如何に対応したラインを作るかである。スマートフォンのような変種変量生産をロボット化するには、相当な努力と工夫が必要になるはずである。
FoxconnのCEOのGOU氏が希望する、100万台のロボット導入は、その意気には敬服するが、そんなに簡単にロボット化が出来るわけがない。相当な時間が必要であろう。しかし、彼には大量生産の現場を持っている強みがあり、継続的な努力は新しい技術を生むはずである。GOU氏は新しいロボット関連技術を生み出す、良い環境の中におかれていると考えられる。日本もロボット技術で遅れをとらないためにも、電子、電気機械の国内ラインのロボット化に真剣に取り組まないと、中国に負けてしまうことにもなりかねない。ポイントはセンシング技術である。
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