最近の社会ニュースを読んでいると、日本の子供たちが精神的に小さな世界に閉じ込められて、広い世間を見ることができないでいるような気がしてならない。現在ほど世の中が色々な面でダイナミックに変化をしている面白い時代は過去になかったのではないかと思うのに、また、子供たちが将来やるべき多彩な仕事が山積していると思うのに、それらを認識できないでいるのではないか?われわれ大人たちがその面白さを子供たちに納得させることができていない。
2006年5月アーカイブ
2006年5月29日の日経産業新聞にレスター・ブラウン氏(米アースポリシー研究所所長)の見解が出ていた。
1)全世界の食料のほとんどをバイオ燃料に転換したとしても自動車に使う燃料の3割程度にしかならない。→エネルギ源としては期待できない。
2)持続可能な世界を実現するためには現時点でのCO2発生量の70%前後を削減する必要がある。
3)風力発電がもっとも有力(注3)。それも個人の家に小型高効率の風力タービンを備えるのがよい。
米国はガソリンの価格高騰に対処するためにバイオ燃料を増産する政策を打ち出している。日本でも2030年までに自動車燃料の10%をバイオ系でまかなうという計画が環境省の計画にある(注1、注2)。しかし、上記のレスターブラウン氏の見解では、それは実現困難ということなので、多くは期待はできないかも知れない。
私個人としては、CO2削減にはレスター・ブラウン氏がいうように、個人が小さいながら自分が使うエネルギの何割かを発電(太陽光、風力、バイオ、水力、・・・)するという方向が一番望ましいのではないかと思う。たとえば太陽光発電は技術も製品も既にあるのだから、個人が導入すれば、数が多いだけに、効果は大きい。
注1: 2006年5月31日の日経産業新聞
注2: 現時点ではバイオエタノールを輸入しても石油より価格は高い。国内で調達するめども立っていない。2006年6月12日の日経産業新聞
注3:緯度の高いヨーロッパでは太陽光発電が不向きで、風力発電が主力となる
注4:新エネルギーの評価と課題
燃料電池自動車やハイブリッド自動車の話題に目を奪われている合間に、エタノール自動車が増殖を始めているらしい。自動車のエンジンの将来形はまだまだどうなるか解らないという感を強く持った。
エタノール自動車はサトウキビなどを原料として作ったエタノールをガソリンの代わりに用いる。ブラジルではエタノール混合燃料(ガソリンに22%以上のエタノールを混合)の歴史が古く、現在では同国の燃料販売額に占めるエタノールの割合は40%にのぼるらしい。ブラジルではエタノール混合燃料の価格はガソリン燃料の60%と安い。地球の裏側の出来事なのでなかなか話題になることも少なかったが、最近の石油価格の高騰を背景に注目を浴びるようになっている。 また、バイオ燃料作物は成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収するので、バイオ燃料燃焼時の温室効果ガス排出量が相殺されるメリットに注目が集まっている。バイオ燃料はブラジルだけでなく世界的に増産が始まっており、2004年には世界全体ではガソリン総消費量の約2%に代わるエタノールが生産されたそうだ。ガソリン燃料を使わなくてすむためには、現在の数十倍のバイオ作物を生産せねばならず、そうなるといったいどのくらいの農地が新たに必要になるのか見当もつかない。果たして現実的に可能なのか?
生産農地の確保のために森林の伐採が広範囲に進んだり、(食料の生産農地がバイオ燃料の生産に転換されるために)食料が減産し食料の価格高騰が発生するなどの可能性がある。
21世紀は20世紀の後進国が先進国にキャッチアップする世紀といわれているので、巨大な人口が巨大なエネルギを使い始める。エネルギーの調達の仕方、使い方も大きく転換せざるを得ず、人類の文明や富の偏在が全地球的な規模でダイナミックに変化する時代に突入してゆくことになる。