エタノール自動車の増殖

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 燃料電池自動車やハイブリッド自動車の話題に目を奪われている合間に、エタノール自動車が増殖を始めているらしい。自動車のエンジンの将来形はまだまだどうなるか解らないという感を強く持った。
 エタノール自動車はサトウキビなどを原料として作ったエタノールをガソリンの代わりに用いる。ブラジルではエタノール混合燃料(ガソリンに22%以上のエタノールを混合)の歴史が古く、現在では同国の燃料販売額に占めるエタノールの割合は40%にのぼるらしい。ブラジルではエタノール混合燃料の価格はガソリン燃料の60%と安い。地球の裏側の出来事なのでなかなか話題になることも少なかったが、最近の石油価格の高騰を背景に注目を浴びるようになっている。 また、バイオ燃料作物は成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収するので、バイオ燃料燃焼時の温室効果ガス排出量が相殺されるメリットに注目が集まっている。バイオ燃料はブラジルだけでなく世界的に増産が始まっており、2004年には世界全体ではガソリン総消費量の約2%に代わるエタノールが生産されたそうだ。ガソリン燃料を使わなくてすむためには、現在の数十倍のバイオ作物を生産せねばならず、そうなるといったいどのくらいの農地が新たに必要になるのか見当もつかない。果たして現実的に可能なのか?
 生産農地の確保のために森林の伐採が広範囲に進んだり、(食料の生産農地がバイオ燃料の生産に転換されるために)食料が減産し食料の価格高騰が発生するなどの可能性がある。
 21世紀は20世紀の後進国が先進国にキャッチアップする世紀といわれているので、巨大な人口が巨大なエネルギを使い始める。エネルギーの調達の仕方、使い方も大きく転換せざるを得ず、人類の文明や富の偏在が全地球的な規模でダイナミックに変化する時代に突入してゆくことになる。

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このページは、essahoiが2006年5月11日 15:51に書いたブログ記事です。

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