今日、自宅の外気清浄用フィルタの掃除をした。最近の住宅は家の気密度が高いので、2時間程度で屋内の空気をすべて外気と入れ替える24時間換気システムの設置が法律で義務付けられている。外気から空気を取り入れる時、外気清浄用フィルタで外気の汚れをある程度取り除く。取扱説明書によれば、「虫や、花粉やカビの胞子などを取り除く」となっている。1ヶ月に一回ほどフィルタ(細い繊維を絡ませた厚さ1cm、幅20cm、長さ30cmほどのスポンジ状のもの)を掃除するように指示されている。我が家の場合、約1.5ヶ月でフィルタの目詰まりを示すインジケータがつく。フィルタの掃除の際に毎回驚くのは、このフィルタが汚れで真っ黒になっていることである。
取扱説明書では虫や、花粉やカビの胞子などを取り除くとなっているが、我が家の場合、目に付くのはほとんどが真っ黒な汚れである。これは明らかに虫や、花粉やカビの胞子などではなく、人為的な空気の汚れである。それは、たとえば家庭の石油暖房機の排気、火力発電所や工場からの排気、道路交通由来の塵埃(ディーゼル自動車などの排気ガス、タイヤの磨耗塵、アスファルト道路の磨耗塵など)と予想される。
その黒さは相当なもので、土ぼこりなどではなく煤のように真っ黒な塵埃である。中性洗剤を使ってフィルタを洗うと、水は真っ黒になる。数回、水を替えて洗わないと水の黒さが取れない。我が家は住宅地帯にあり、近くには工場はないが自宅の南と東のそれぞれ約100mに交通量の多い道路がある。
これでは清浄な外気を取り入れているのではなく、黒い塵埃に汚された空気を取り入れていると言った方が正しい。もちろん、屋内の空気は人が呼吸で排出するCo2や壁や家具などが揮発する有機溶剤ガスなどで汚されるので、これを外に捨て酸素リッチな外気を取り入れる効果は納得はしている。
ここで指摘したいのは外気の汚さである。フィルタがこんなに真っ黒になるのを見ると、都市の空気は健康上、相当な害毒を人に及ぼしているのではないかと言うことだ。ガソリンやディーゼル自動車の排気規制で都市の空気はきれいになったと思っていたが、実態はまだまだ汚れていることがわかる。
子供の喘息患者が増えているし、最近は肺がんが他のガンを抜いて発症ガンのトップになったことなどを考えると、タバコの害以外にも、このような空気の汚れと関係があると考えるのが普通であろう。国は都市の空気の清浄化にもっと真剣に取り組まないといけないのではないか?
空気清浄機のメーカも、この黒い汚れを「虫や、花粉やカビの胞子」などときれいごとで言うのではなく、実態を把握した上で黒い塵埃の清浄化の方法を再検討して欲しい(注1参照)。
注1: 屋内循環空気用の清浄用フィルタ(網目状のもの)につく塵は、黒くはなく、白っぽい塵であるので、外気清浄用フィルタはある程度黒い塵埃の除去には成功しているが、黒い塵埃がどの程度残留しているかはわからない。
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