今年(2003年)の12月1日から地上波デジタルテレビ放送が名古屋市でも観られるようになった。高精細映像、電子番組表、データ配信(双方向通信)などテレビ局側は売り込みに必死であるが、大多数の視聴者の本音は「高価な受像機に買い換えるほどの魅力を感じない」ということであろう。地上波テレビのデジタル化を推進する政府の第1の狙いは、「成長が著しいモバイル機器のためにアナログテレビの電波帯を確保したい」と言うことだ。
技術の進展で、個人が使う情報メディアは多様化している。デジタルテレビは他のメディアではできない高品質映像、音質を与えてくれるホームシアター用として期待したい。 一方、双方向通信などはパソコンやケイタイのほうがずっと適している。役に立たない余分な機能を抱えた高価なテレビを1億台も国民に買わせるような愚はしないでもらいたいものだ。
ブロードバンド化のおかげで、パソコンには視聴者の個別のニーズに合わせた複数のテレビ映像を配信できるようになっている。イラク戦争では数日間24時間ぶっ通しで戦場からの映像をインターネットに流し、一部の人の期待に答えた。このようなことこそ、今後に期待されることである。
このように情報メディアは急速に姿を変えつつあることを認識して進まねばならない。過去の10年と同じようにこれから10年も、視聴者がテレビの前に座ってくれると思うのは大間違いである。
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