FZ-10を使うようになって、ずっと気になっていることがある。それは超望遠(400mm-1260mm)で、かつ太陽が沈む直前のような少し暗くなり始めた状況下で野鳥を撮ると、下の写真1のように全体的にシャープさが無くなることである。つまり、画像のコントラストが低くなり、色が薄くなってくる。写真2のように1m前後の距離で花などを撮った場合と比較するとよくわかる。
写真1: 夕方(04年7月25日、18時44分)、36倍ズーム(光学12倍×テレコン1.5倍×デジタルズーム2倍)、三脚使用、F=2.8、SS=1/60、ISO感度=200、被写体までの距離は60から70m位。シャープさが不足。
写真2: 昼(04年9月9日、9時15分)、2倍ズーム、三脚使用、F=3.7、SS=1/100、ISO感度=50、被写体までの距離は1m位。シャープな写真が撮れている。
以下では36倍(光学18倍、デジタル2倍)の超望遠の場合について、ボケの原因を調べてみる。
画像にシャープさが無くなる原因として想定されるのは、
①オートフォーカスの精度が甘くなる
(一眼レフでも超望遠の撮影では、オートフォーカスは不安定になりやすいそうだ。マニュアルでフォーカスするのが良いそうだが、FZ-10ではファインダー、モニタとも、そこまでのフォーカスを確認するのは無理。)
②絞りが開きすぎてレンズの収差の影響が出る
③CCDの出力が小さくなり、色の精度が低下する(S/N比が低下する)
などがあるが、主要な原因が何であるかについて悩んだ。
これらを検討するために、薄暗い夕方と明るい昼のそれぞれの時間帯で同じ野鳥をほぼ同じ望遠条件(距離30~40m、倍率36倍)で撮ってみた(写真3,4)。
すると超望遠でも、昼間では夕方よりもずっとシャープな画像が撮れることがわかった(写真4)。
写真3: 夕方(04年9月10日、17時45分)、36倍ズーム、三脚使用、F=2.8、SS=1/30、ISO感度=200、被写体までの距離は40~50m位。ピントはやや甘く、シャープさが不足している。
写真4: 昼(04年9月11日、11時34分)、36倍ズーム、三脚使用、F=4.0、SS=1/160、ISO感度=50、被写体までの距離は30~40m位。ピントはしっかりと合っている。シャープな写真が撮れている。
以上の結果から、夕方の画像が昼の画像よりもシャープさに欠けた原因を影響の大きい順に推定すると、
1)カメラへの入射光量が少なく、CCDの出力が小さくなり、ノイズに埋もれて色の精度が低くなった。
2)CCDの出力が小さくなったので、オートフォーカスの精度が低くなった。
3)暗い被写体のために、絞りが開き、レンズ収差の影響が大きくなり、ピントの精度が低下した。
シャープさが低下した主因は1)、2)ではないか。3)の影響の大きさについてはよくわからない。
また、被写体の明るさが同じならば、当然、超望遠のほうがカメラに入ってくる光の量は少ないからシャープさは低下しやすいといえる。夕方に超望遠で撮影するのは最悪の条件となる。
FZ-10は小型・軽量の超望遠カメラとして魅力は大きいが、CCDサイズを大きくできないので、シャープさに欠ける画像を作りやすい。カメラの露出やシャッター速度の設定を工夫すればもっとシャープな写真を撮れるかも知れないが。
参考:「井の頭公園の野鳥」サイトでは、ニコンのD2H(一眼レフ、400万画素、CCDサイズ、23.3 mm× 15.5mm)とFZ-10(コンパクトカメラ、400万画素、1/2.5インチ・・・6mmx4mm?)とで撮ったカワセミの写真が掲載されている。同じ400万画素でここまで違うのかと驚く。
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