2007年3月アーカイブ

 マルチメディア分野で技術進化が目立つ最たるものは薄型テレビであろう。それもFDPに集約される。液晶パネルでは遅い動画応答や低い暗所コントラスト、プラズマディスプレイでは低い明所コントラストが課題のことには変化がない。それぞれ改善は進んでいるようだが素質の悪さは如何ともしがたく、将来にわたって生き続けるFPDとは思われない。画質が良い別の原理に基づくパネルが出てくれば主役の座を降りざるを得ないだろう。もちろん、テレビのデジタル化への遷移時期にそれなりの画質の大型パネルを世の中に提供している功績を否定するものではない。SEDまたは有機ELパネルが次世代のパネルとなって登場するのは、間違いのないところだろう。

 一方、100インチを越える大型パネルが登場しており、メーカの思惑は住宅の壁(居間、寝室など)に埋め込んで使用してもらうことにあるらしい。
 しかし、それがユーザにとって本当にうれしいのだろうか?
 確かに未来小説、映画などではそのような場面が定番になってはいるが、家中の壁にディスプレイをはめ込むわけにもゆかないだろう。部屋の使い方を固定的にしてしまう問題点がある。私個人の希望は、持ち運べてどのような平面にも映像を投影できるプロジェクションディスプレイだ。小さく見たいときには手元の平面に投影し、大きく見たいときには壁に投影する。見たい部屋に手軽に持ってゆける小型軽量のプロジェクタがほしい。最近ではレーザ光源を利用したプロジェクタがソニーから発表され期待がもてそうだ。高輝度のレーザ光が目に直接はいると障害を与えるので安全性に問題があるが、光路に目が入ってきたら直ちに出力を下げるというようなシステムが開発できれば安全性を確保できるはずである。

 数年前に元NTTの安田浩さんが将来のマルチメディア社会の展開を予測し、 「放送が通信と融合し、情報家電やケーブルテレビが伸びる。それがデジタル革命の最初の波で、後は焦点はだんだんと情報の中身(コンテンツ)に移って行く。」といっていたが、大きな流れはそのとおりではあるが、コンテンツが豊かになったかというと、私自身にはその印象派薄い。日本の場合、著作権問題で音楽のダウンロード販売には断固協調しなかった日本レコード会社に対して、Apple社がアメリカでi-Podで成功したのには驚いたこともあった。日本でも少しづつi-Podビジネスが始まっているようだ。またRSSやYouTubeなどのコンテンツもそれなりに面白い。しかし、いまのところ玉石混交で私のライフスタイルを変えるほどのものにはなっていない。

 むしろ私が期待してるのはNHKをはじめ貴重で高品質なアーカイブを持っている放送業界が、有料・無料は別にしても、一般市民が必要に応じて簡単に見られるシステムである。これがなかなか実現しない。i-Podのスティーブ・ジョブなどはいくら暗号化しても必ず破られるから、完全な暗号化技術が完成するのを待たずにダウンロード販売したらどうか?という立場でビジネスをして成功している。このような考え方は妥当といえるのではないか?大部分の市民はお金を出してコンテンツを買うことに異論はない。だから少数の不心得物が無料でコンテンツをサイトに出品したところで魅了は感じない。そのようなサイトはネットポリスに任せばよい。

 そうこうしている内に放送界の革新者である英国BBCがそのアーカイブを無料でダウンロードさせるという記事を見かけた。BBCにはすばらしいコンテンツが多い。NHKのBSなどでたびたび観ている。私は無料でとはいわない。リーゾナブルな価格ならば大いに利用させて欲しいと思う。 NHKもはやく決断して日本のコンテンツビジネスを活性化して欲しいものだ。NHKの発展のためにもきっとプラスになる。

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