赤兎山から鳩ヶ湯鉱泉への下りは樹齢200年クラスのブナの大原生林の中を通る。丁度、大雨が降ってきたので、幸運(?)にもブナの大木の幹を流れ下る帯状の雨水の流れ(樹幹流)を初めて見ることができた。その流れは非常に壮観であった。まさに幹の表皮上の川である。ブナの樹は葉に降り注いだ雨水を集めて、根元に貯める特性がある。葉の形、枝の形、幹の表皮の滑らかさなどが雨水を集めるのに最適な特性を持っている。樹幹を伝わって流れてきた水は、ブナの根元で地中に吸い込まれ、地表を流れる水は見えない。積もった有機物を多量に含む土壌は大量の水分をため込むことができる。ブナのダムといわれる由縁である。
ブナの樹を200年計画で山に植林すればコンクリート製のダムを作らなくても、年中豊かな清流を得ることができるのではないか?21世紀の国土造りは自然の英知をうまく利用することを基本に据えるべきと思う。この方がより先端的な高い科学技術を必要とするからこそ21世紀的な手法となる。
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