産業用ロボットの開発でブレークスルーを作るために、いろいろなアプローチがなされてきた。それがはからずも安川電機とファナックという2大ロボットメーカのフラッグシップとして対立的に発表された。現時点ではどちらの進め方がよいかは判らない。それぞれ長所短所がある。
双腕ロボットについていえば、長所は「一本のアームでは困難な難組み付け作業がやり易い」ということだろう。2本だけでなく3本以上のアームの協調動作ができれば可能となる組立作業も多いと思われる。一台のロボットが治具を使って組み立てる場合に比べて、治具を簡単化でき生産準備の時間を短縮できる可能性がある。一方、短所は単腕でできる作業も多いので効率が悪いという点がある。双腕型を作らなくても単碗のアームを2台使えば良いという批判もある。
知能ロボットについては、その定義からはじめなくてはならない。ファナックの定義では「視覚または触覚センサを使って、作業対象の位置形状のばらつきに適応して作業を完遂できるロボット」のようだ。長所は作業の停止が起きにくいことだ。短所は作業速度が遅くなること。
多腕知能ロボットがあれば、一番よいことになるが、コストが高すぎる。
当面は作業の特徴にあわせて、これらのロボットを使い分けることになるのではないか。安川電機は双腕ロボットを作業の高速性が要求される自動車の組み付け作業に使おうとしているし、ファナックは知能ロボットを作業が比較的低速でよい部分(バリトリ作業、ワークの取り付け取り外しなど)で使っている。
技術的に難しいのは知能ロボットであろう。物体認識、接触の制御など20年以上にわたる長い研究の歴史があるにもかかわらず、いまだに実用例は少ない。ファナックが実用のラインで導入に成功したことは画期的というべきであろう。敬意を表したい。
コメントする