デンソーのカーエヤコン組み立てロボットラインのような多種大量生産ラインではなく、1から3台の小型ロボットを中心として構成される全自動「多種少量生産組み立てセル」で成功している例が、2006年4月14日の日経産業新聞に紹介されていた。IDEC社の「非常停止スイッチや制御用リレーなどの部品の組み立てセル」がそれである。2000年に稼動開始し、現在16セルが組み立てを行っている。5年間で累計1900万個の制御機器を製造した。今後2年以内にさらに100セルを導入する計画だそうだ。単純計算をすると1セル当たりの月産量は平均約2万台((注1)となり、全自動化設備としては生産量は少なく多種少量生産だが、製品生産寿命は長いと思われる。このような生産形態に対してはロボット化セル生産システムは有効であることが証明された。
特徴は一度に多くの(最大20個?)部品をつかむことのできるハンドまたは"つめ"を持った回転型ハンドを搭載していることである。一度に多くの部品を把持し、一気に組み付ける。ハンド交換をなるべく少なくして交換のために発生するロスタイムを減らした。また、部品搬送用の部品供給モジュール、組み立て途中の製品を保持する治具モジュールなどを標準化している。各モジュールは順次最新のものに入れ替えて、1時間当たりの生産台数は当初に比べ、約2倍することができた。モジュールを交換すれば、生産切り替えにも短時間(10~30分)で対応できる。
写真:IDEC社の組み立てセル(日経Tech-On(Webページ、2005年11月17日)から引用させていただいた)
注1:手組みか自動化かを決める限界月産量は、製品の構造によっても変わると思うが、デンソーの場合月産5万台が目安になっている。IDEC社のロボット化セル生産システム場合はこの半分以下でも成功していることになる。デンソーでもロボット化セル生産システム("ミニ組立工場CAC-Circular Asembly Cell" デンソーテクニカルレビューVol.9 No.1 2004)は開発・運用されているが、月産量については不明である。
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