DARPA主催のロボットカーレースは1回目が2004年、2回目が2005にカリフォルニア州モハビ砂漠で行われ、2回目には200km強の全コースをスタンフォード大学(1位)をはじめ5チームが初めて完走した。「DARPA Urban Challenge」は2007年に3回目が開催される予定。今年のレースでは、市街地を想定したコースで行われる。したがって 交通規則に従い、障害物を避けて走行するなどの難しい判断を機械がしなくてはならない。ロボットカーレースはあたらしい段階に入ったといえるが、今度は相手の車も含め人などいろいろな障害物を認識する必要が出てくるので、そう簡単には完走できないだろう。いづれにしても、アポロの月面着陸(1969年)以来の久しぶりに興奮させられる技術チャレンジだ。技術が成功すれば直ちに現実の自動車に成果が反映されるだろう。いままで多くの発明品を世に送り出してきたアメリカらしいやり方だ。日本もだれか挑戦してはどうか?
2007年2月アーカイブ
筑波大学の山海教授のグループが開発したロボットスーツが話題を呼んでいる。この度、大和ハウスが量産を引き受けることになったそうである。住宅での介護用機器として期待しているのであろう。確かに、最近発表されているロボット技術・製品の中では一番そのコンセプトに説得力があるような気がする。今後の技術開発で得られる性能向上を考えると夢が広がってくる。
テレビで山海教授が話しておられる内容を聞いた範囲でしか私はこのロボットスーツの制御方式を理解していないが、なかなか興味深い。要するに、筋電信号処理と二足歩行ロボット技術とを巧みに融合させたものだろうか?制御の不完全な部分はスーツを着ているのが人間だからうまく調整補完してくれる。人の知能と機械系を融合させたシステムであり、現状では一番賢い知能ロボットの実現方法といえよう。それにしても、筋電を使ってこれほどまでにスムースな動きが出来るものかと感心した。大いに期待したい。
TVなどの報道だけではどの程度の性能を持ち、スーツを着る人間がどの程度訓練しなければならないのかが詳しくはわからない。人を抱き上げて移動する場合を想定すると、機械系が破壊したり制御が出来なくなった時、運ばれている人間の安全、更にはスーツを着ている人間の安全保証も気になるところである。
機械組み立て用のロボットがなかなか現れてこないのは、制御技術が出来ていないためばかりではない。仮に技術的に出来たとしても、ロボットを使わない設備と比較して優位差は何かが明確でなければならない。製造コストなのか?製品品質なのか?他の製造方法では実現できない製品構造なのか?非人間的労働から労働者を救えるのか?などなど。
現在のロボット方式の生産ラインで成功しているケースで見られる優位さには、例えば
製品品質が作業者のラインよりはるかに高い(品質検査のオンライン化)
人間ならばストレスで耐えられない多品番流動が可能になる
生産コストが作業者よりも安い
などがある。
また、このような設備を安全に稼動させる環境(インフラ)が工場に無ければならない。それらは、
設備が現場レベルで見て使いやすいか、設備の維持・管理が現場レベルで出来るか?など多くの観点で合格しなければならない。
ある程度の大量生産品で、比較的長期間生産が継続するというような好条件があって始めて可能になる生産システムでもある。
大部分の家電製品などはこのような好条件は無いので、国内の数分の1で生産が出来る中国などに生産ラインを引くことになる。この生産をコスト面で下回るレベルでロボット化できる技術は現在のところ無いようだ。