結論から先に述べると、Universal Robotなどのco-robotは従来型の小型産業用ロボットを置き換えるものではないと思われる。従来型産業用ロボットの動作の機敏性(最高速度、加速度、精度)はUniversal Robotをはるかに勝る。小物組み立てなどの生産ラインでは、Universal Robotは従来型の産業用ロボットに勝てない。
Universal Robotはco-robotとなるために、
1)最高速度を1m/secと低速化(同レベルの作業域を持つ従来型産業用ロボットでは最高速度はでは6~9m/sec)
2)位置決め精度を+/-0.1mmと粗くした(従来型のロボットでは+/-0.02mm。減速比を小さくして衝突時の反力がモータに伝わりやすくしたと推定)
3)ボデーをスリム化することで軽量化(従来型ロボットの1/2~1/3)を達成している。
平成25年にロボットの安全基準が一部変更され、多軸のモータの2軸以上が80w以下でなくても、リスクアセスメントの実施により停止監視や力制限など安全性が確保された条件下ではco-robotとして安全柵なしで、人と同一作業場で運転することが許されるようになった。
そこで、現在の産業用ロボットの制御などを変更して、最高速度を安全圏に抑え、衝突停止機能(現状の産業用ロボットでもワークやロボット本体の破損防止のために、備えている)、Lead through teaching機能などを持たせればco-robotとして使うことができるだろうかというと、疑問が残る。
衝突時のショックの大きさに関係するロボット重量/可搬重量はUR5では3.6に対してRV-7Fは9.3であるから2~3倍もショックが大きいし、重量が2~3倍も大きいと、ラインの組み換えなどで不利になる。
日本の企業も、残りの90%を占める多種中小量生産向けの市場開拓を目指して、小型軽量、低価格なco-robotの商品化に取り組まないと、大きな収入源を失うことになろう。
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