新型インフルエンザへ個人の対応

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  最近、世界的に鶏が高病原性鳥インフルエンザ5HN1で数100羽規模で大量死する事態が増えている。日本でも今年の1月になってから既に宮崎県の2箇所で発生している。2003年後半に鶏で発症が発見されてから最近に至るまで、韓国、中国、その他東南アジアで発生頻度が密になってきている。突然にある鶏舎内で集中して感染が起こる。(消毒により、他の鶏舎への伝染は今のところ防げているようだ)
 鳥インフルエンザは主として飛沫感染だが空気感染でも伝染し、1羽でも感染するとその鶏舎内にいる鳥の多くが数日間で死亡してしまう強毒性のウイルスである。
 鴨などの渡り鳥がウイルスを運んでいる(鴨自身は罹患しない)と推測されている。
 罹患する相手の種類も2003年に発見されて以来次第に増えているようだ。人間以外には例えば、野鳥類(タカ、スズメ)、猫、豚、・・・。
 これはウイルスが短時間に、刻々とその形態を変えているためらしい。現状では人への感染は鶏から人へであるが、恐れられているのは人間から人間に感染するウイルスに変化することだ。現実に人に感染しやすいように変化している形跡がある。
 そうなると、鶏舎の中の鶏のように、例えばビルや電車のような密閉空間で一人の感染者の出すウイルスが次々と伝染し、死者が膨大になることが恐れられている。これをパンデミック・フルー(世界的に大流行するインフルエンザ)という。
 かって1920年代に猛威をふるって世界中で数千万人が死んだスペイン風邪のウイルス(弱毒性)よりも毒性の高いウイルス(強毒性)なので、億単位の死者が出ることが予想されている(注1)。厚生省の試算では、日本では64万人の死者が予想されている。毎年流行しているインフルエンザでは日本で1000万人が感染し、1から3万人が死亡しているので、約20倍もの死者が出ることになる(国立感染症研究所の岡田春江氏(「パンデミック・フルー」講談社出版を参考にした)。

注1:高病原性鳥インフルエンザH5N1が人に感染した場合の死亡率は50%弱だが、新型になると死亡率が大幅に下がると予想されている(2008年1月23日朝日新聞朝刊)(注2)。スペイン風邪の死亡率は2%だった(通常のインフルエンザは0.1%以下)。しかし、新型はスペイン風邪より強毒なので、死亡率は2%よりもっと高くなる可能性もある(岡田春江氏)。

注2:死亡率は下がらないとする説もある。要するによく解っていない。

 岡田春江氏によれば、パンデミックフルーはもはや時間の問題で、必ず発生するから個人としても早く準備をするべきと言っている。人から人への感染が活性した時には、個人で出来る対策としては、

 1)感染防止のため外出を控える(約2週間?)。
 2)外出しなくても生活できるように最低限の備品を備蓄(2週間分ほど)しておく。
   それらは例えば、食料、水(社会インフラが停止する可能性あり)、燃料、薬など。
 3)万一感染しても入院できないことを想定して、自宅療養の準備をしておく(氷枕、消毒薬、解熱剤/アセトアミノフェン、電解質液/ポカリスエットなど)。
 4)外出時には感染しないようにマスク(ウイルス対策用)、ゴーグル(目の粘膜を防御)を着用する。
 5)外出から帰宅時に、手洗い、洗面、うがいを励行。
 6)感染したら家族に伝染しないように患者、家族ともマスクを着用。発熱したら頭と脇の下を冷やし、解熱剤を飲む。バランス良く消化の良い食事をする。下痢したら脱水症状にならないように点滴の代わりに薄めたスポーツ飲料などを飲む。そして、体の中に新型インフルエンザに対する抗体ができて回復してくるのを待つ。

 感染しても幸いに死を免れれば、抗体が体内にできて二度と感染することは無くなる。はたして、生き残れるか?


 追加情報(2007.06.21):
 先日2007年6月)の朝日新聞に鳥インフルエンザウイルスが人から人へと伝染するように変異したとしても、パンデミックになるまでに時間があるので、その間にワクチンなどの開発をすることもありうるというような主旨の記事があった。また、仏サノフィパスツールは、ヒト用の新型インフルエンザワクチンの承認を米国で取得したとの別記事もある。接種後にH5N1ウイルスに対する免疫反応を確認したとのことである。パンデミックにならないで済む可能性も出てきたようだ。

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このページは、essahoiが2007年1月24日 01:02に書いたブログ記事です。

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