2004年4月アーカイブ

 FZ10の光学ズーム(12倍、35mmフイルムカメラ換算の焦点距離は420mm)では野鳥にできるだけ接近して撮影しても、写真からその種類を見分けるのはなかなか難しい。デジタル3倍ズームを併用して倍率を合計36倍まで使うと面白い写真が取れる可能性は一挙に増える。36倍ズームは35mmフィルム換算では焦点距離1260mmの望遠レンズに相当する。

写真の説明:約200m先で飛び立つ川鵜(弥富野鳥園にて)
光学12倍xデジタル3倍、手ぶれ補正Mode2,一脚スタンドで撮影し、レベル補正、輪郭シャープ化を実施。

 デジタルズームのメリット、ディメリットについて考えてみると、
 まず、メリットは高倍率ズームを小型軽量で実現できることに尽きる。なにせ、焦点距離1260mmが550gで得られる(一眼レフカメラでは630mm相当の場合、5kgを超えるらしい)。これは大きい。鳥を発見して即座にシャッターを切るにはもっとも好都合な特性と言える。

 ディメリットはデジタルズームではシャープな写真が撮れないことである。 デジタルで3倍にするとCCDの有効画素数の1/9しか使えない。FZ10の場合、有効画素数は400万画素÷9=45万画素になってしまう。この少ない画素間を内挿補間して400万画素に展開しているため、元データが少ない分だけ画像はボケてしまう。

 そこで、テレコンバータが欲しくなる。ところがFZ10純正のテレコンバータは倍率が1.5倍(焦点距離630mm)のレンズだが、なんと重さが640グラムもある。焦点距離を1260mm相当にするためにデジタルズーム2倍を使うと、有効画素数は100万画素になる。問題は有効画素数を45万画素から100万画素にするために、630グラムの重量増加を我慢できるかどうかである。果たしてどのくらいの実質効果があるのだろうか。テストしてみるまではわからない。

 デジタルカメラは今後さらに進化を続けると思うが、重いレンズを使わなくてもさらに高倍率ズームできれいな写真が撮れるような進化を期待したいと思う。それには画像素子(FZ10では1画素のサイズは2.4ミクロン角)をさらに小さくして高解像度、高感度、低ノイズ化を進める必要がある。同時にレンズの分解能も高めてゆかねばならない。
 現在の1眼レフカメラで画像素子の大型化を進めているのとは逆方向となる。

 このサイトの姉妹サイトの「モブログ研究」ではDocomoのケイタイ(SH505i)内臓デジカメとi-Shot機能を使って外出先で撮った写真をアップロードしている(平田大治さんが運営するMovable Mail Gatewayを利用)。撮影した直後に写真と文章をWebにアップできるので、現場の雰囲気が単刀直入に読者に伝わる。

 しかし、問題もあることがわかってきた。まず、第一に、デジカメ専用機と比較するとメガピクセルのケイタイデジカメといえども画像の品質が悪い。高倍率ズームもできない。現場からの報告用ツールとしてはこれらは致命的な欠点で不便である。そのため、「モブログ研究」の写真は最近ではデジカメ(パナソニックFZ1012倍ズームデジタルカメラ)で撮った写真も載せるようになってしまった。
 第二の問題として、ケイタイの親指入力では思い通りの文章が書きにくいことである。だから、家に帰ってから文章を追加している。これではモブログの価値が半減である。

 今後、ケイタイ・デジカメの性能は向上を続けると思うが、やはり専用のデジカメにはかなわない。それならば、高性能なデジカメにメール送信機能を付けた方が速く目的を達成できる。

 メール送信機能を持ったデジカメはすでに2000年9月にリコーから発売されている(注1)。しかし、あまり話題にされていないところを見ると、売れていないのか? 2000年の時点ではまだワイヤレスの通信速度も遅く、通信料金も高かったので、使ってもらえなかったのだろう。

 最近はケイタイは第3世代になっている。通信速度は速くなり、かつ定額制料金になりつつある。モブログという使いやすいWeb制作ツールが出現し皆が使い出している。そろそろ高速なメール通信機能を持つデジカメが活躍できる環境が整いつつあるのではないか?

 それから、写真に文章を添付するために小型のポータブル・キーボードがデジカメで使える必要がある。写真は折りたたむことのできる「ストアウェイのポータブル・キーボード」である。
WindowsCE FANから引用させていただいた。

注1:デジタルカメラに、メール通信やホームページ閲覧機能、FTPアップロードなどの機能を付けた「RDC-i700

 高倍率のズームがコンパクトカメラで実現できることもデジタルカメラの大きな特徴だ。これはフイルムに相当するCCD(撮像素子)が35mmフィルムサイズムよりずっと小さくてもある程度の写真品質を実現できるからである。

 写真:Panasonicのデジタルカメラカタログから引用

 しかし、CCDを小さくしてゆくとCCDの出力信号に占めるノイズの割合が増加し、感知できる明るさのダイナミックレンジ(画像の中で一番明るい部分と一番暗い部分の明るさの差)が狭くなって行く。だから写真品質を維持するためにCCDの小型化には自ずと限界はある。そのような中で、FZ10は電池込みでわずか550グラムという軽量小型の筐体に400万画素、420mm(35mmフィルム換算)ズームを組み込むことに成功している。
 FZ-10の仕様書を見ると12倍ズーム時の焦点距離は35mmフイルムカメラ換算では420mm、実焦点距離は72.0mmで、約1/6になっている。したがってCCDのサイズ(1/2.5型)は35mmフィルム((36mmx24mm)に対してその1/6の約6mm×4mmとなる。言い換えると、CCDの縦横サイズを約1/6にしたから、レンズ焦点距離も1/6ですみ、ズーム機構も1/6の大きさに小型化できたわけだ。
 一方、35mmフィルムに近いCCDサイズ(23.7mmx15.6mm)を持っているニコンのD70(610万画素)に比べると、FZ10(400間万画素)の1画素の面積は約1/10になってしまうので、信号出力(感度)は小さくなりノイズの影響をそれだけ受けやすくなる。逆にニコンのD70はFZ-10より10倍暗い被写体でも写せることになる。さらに言えばDZ-10はシャッター速度が速くできるので、手振れ補正機能がなくてもFZ-10と同程度のぶれの少ない写真が撮れることになる(注1)。

 全ての性能を満足することはできない。長所と短所は物事の両面である。何を選んで何を捨てるかの選択が商品を作るわけで、FZ10は小型軽量ズームを選んだ。携帯性を重視する私にはFZ10は楽しく使えそうなカメラである。

注1:2004年7月31日に一部修正

  FZ10はコンパクトカメラなので一眼レフカメラに比べると弱点もあるが優れた特徴を持つ。いろいろ遊べて楽しいカメラだ。買った早々は適当に撮っていたので、白飛びが起こったり、ノイズの多い写真になったりしてよい写真が撮れなかった。間違った買い物をしたか?と気分が悪かったが、どうも私がカメラ使い方の基本を知らなさすぎたらしい。撮影条件(特に露出補正)をきめ細かく決めるようにしたらきれいな写真が撮れ始めた。写真撮影とはそのようなものらしい。カメラの「くせ」を知った上で使い方を工夫しなければ良い写真はとれない。

 デジタルカメラはフイルムが不要で、撮影した写真がその場で簡単に見られる(注1)という良さがある。結果を見ながら撮影条件をいろいろ変更できるので好みの画像を実現しやすい。フイルムカメラでは面倒なISO感度やホワイトバランスの調整などもボタン操作で簡単にできる。
(注1:微妙な撮影条件の差を現状の電子ファインダーやモニタで識別するのは多くの場合困難である。折角の特徴を生かせていない。電子ファインダーの表示能力を大幅に向上させる必要がある。カメラメーカは何か勘違いをしているのではないか。)

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