FZ10の光学ズーム(12倍、35mmフイルムカメラ換算の焦点距離は420mm)では野鳥にできるだけ接近して撮影しても、写真からその種類を見分けるのはなかなか難しい。デジタル3倍ズームを併用して倍率を合計36倍まで使うと面白い写真が取れる可能性は一挙に増える。36倍ズームは35mmフィルム換算では焦点距離1260mmの望遠レンズに相当する。
写真の説明:約200m先で飛び立つ川鵜(弥富野鳥園にて)
光学12倍xデジタル3倍、手ぶれ補正Mode2,一脚スタンドで撮影し、レベル補正、輪郭シャープ化を実施。
デジタルズームのメリット、ディメリットについて考えてみると、
まず、メリットは高倍率ズームを小型軽量で実現できることに尽きる。なにせ、焦点距離1260mmが550gで得られる(一眼レフカメラでは630mm相当の場合、5kgを超えるらしい)。これは大きい。鳥を発見して即座にシャッターを切るにはもっとも好都合な特性と言える。
ディメリットはデジタルズームではシャープな写真が撮れないことである。 デジタルで3倍にするとCCDの有効画素数の1/9しか使えない。FZ10の場合、有効画素数は400万画素÷9=45万画素になってしまう。この少ない画素間を内挿補間して400万画素に展開しているため、元データが少ない分だけ画像はボケてしまう。
そこで、テレコンバータが欲しくなる。ところがFZ10純正のテレコンバータは倍率が1.5倍(焦点距離630mm)のレンズだが、なんと重さが640グラムもある。焦点距離を1260mm相当にするためにデジタルズーム2倍を使うと、有効画素数は100万画素になる。問題は有効画素数を45万画素から100万画素にするために、630グラムの重量増加を我慢できるかどうかである。果たしてどのくらいの実質効果があるのだろうか。テストしてみるまではわからない。
デジタルカメラは今後さらに進化を続けると思うが、重いレンズを使わなくてもさらに高倍率ズームできれいな写真が撮れるような進化を期待したいと思う。それには画像素子(FZ10では1画素のサイズは2.4ミクロン角)をさらに小さくして高解像度、高感度、低ノイズ化を進める必要がある。同時にレンズの分解能も高めてゆかねばならない。
現在の1眼レフカメラで画像素子の大型化を進めているのとは逆方向となる。