私のようなカメラ入門者には、マッド・サイエンティスト研究所の「ボケの考察」(注1)はカメラを理解する上で大変参考になった。ボケの比を表す数式を私なりに再解釈して下記のように納得。
1.コンパクトデジカメと一眼レフデジカメとで、そのボカシ能力(=ボケの比(β))を比較する場合には、その実焦点距離(35mmフイルム換算ではない)を調べればよい。ボカシ能力は実焦点距離に比例する。コンパクトデジカメの実焦点距離は一眼レフデジカメのそれの数分の1であるから、ボカシ能力も数分の1である。
2.望遠カメラで背景を大きくぼかすには、絞りのF値をなるべく小さく(絞りを開ける)し、被写体にできるだけ近づき、背景までの距離を被写体までの距離に対して十分に長くとり、なるべく望遠側(=ズームアップする)で撮影すればよい。1台のカメラについていうと、ボカシ能力は焦点距離の二乗で効くからきるだけ望遠側で撮ることが効果的である。しかし望遠側では最短焦点距離が長くなり、被写体に近づくとピントが合い難くなるので注意が必要である。
注1: http://homepage3.nifty.com/anoda/oldpage/space/mlab18/mlab18.htm
(付録にある解析はMathMLを使っているので、MozillaまたはNetscape7.0でしか読めません)
証明:
マッド・サイエンティスト研究所さんのボケのモデル
β=(α/A)*D ・・・式(1)
ここで、
β:ボケの比(B/x)、Bは背景(∞遠方)のボケの大きさ、xはフィルム(またはCCD)の大きさ
α:像の大きさの比(a/x)、aは被写体のフィルム(またはCCD)上での大きさ
A:被写体の大きさ
D:レンズの有効口径(=レンズの焦点距離f/開放絞りのF値)
検討1:
デジタル一眼レフとコンパクトで次カメのボカシ能力(=ボケの比(β))の差は、その焦点距離の違いに比例することを示す。
α=a/x
1/A=f/{a(L-f)} (なぜなら a/A=f/(L-f) )
D=f/F
ここで、
f:焦点距離
L:被写体ーレンズ間の距離
F:開放絞りのF値
これらを式(1)に代入すると、
β={1/(L-f)}*(f/x)*(f/F)
L>>f だから
β≒(1/L)*(f/x)*(f/F) ・・・式(2)
式(2)においてβ値をコンパクトデジカメと一眼レフデジカメの場合について比較すると、L、F,(f/x)はそれぞれで同じ値であるから、ボケの比(β)は焦点距離(f)のみに比例することがわかる。
検討2:
一つのカメラについて言えば、ボカシ能力(ボケの比)は、焦点距離の二乗に比例し、被写体とレンズ間の距離、絞り値Fに反比例することを示す。
式(2)は式(3)のように書き換えることができる。
β≒(1/L)*(1/x)*(1/F)*(f*f) ・・・式(3)
ここで(1/x)は一定であるから、βはfの二乗に比例し、LとFに反比例することがわかる。
つまり、背景を大きくぼかすには、絞りのF値をなるべく小さく(絞りを開ける)し、被写体にできるだけ近づき、なるべく望遠側で撮影すればよい。焦点距離は二乗で効くから、できるだけ望遠側で撮ることがもっとも効果的のはずであるが、望遠を大きくすると最短焦点距離が長くなるので、被写体に近づきにくくなる。総合的に考えて条件を決める必要がある。
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