地学の最近のブログ記事

 先日、6月12日に島田緑地の自然観察会に参加し、年に2回公開される「保全区域」を見学する機会に恵まれた。9年前に、土日祝日に公開されている「再生区域」を見てから今回まで、一度も訪れていなかった。9年目の6月12日(土曜日)に、たまたま訪れたら、偶然に「保全区域」の公開日だった。 今の時期はシラタマホシクサやハッチョウトンボが見られるということで、期待が高まる。普段から緑地の再生維持に携わっておられる10名以上のボランティアの人々の案内で「保全区域」に入った。

20190630215335-c44b5ce6c6dbbb04f9162b8181c1f892e9fcfcdc.jpg
島田緑地の航空写真(Googleマップから)
 緑地内には大きな池が二つある。右側の池が「保全区域」の池で、年に2回しか公開されない。保全区域は東南にある小高い山への傾斜地にあり、池の右端の山腹に湧水がある。この湧水で二つの池の水位が保たれている。昭和50年(1975年)ごろは、この一帯には東海地域でも有数の規模の湿地帯があったが、宅地造成のために現状まで狭くなってしまった。放って置くと雑草や外来生物(セイダカアワダチソウ、アメリカザリガニなど)が侵入し旧来の自然が失われてしまう。関係者の献身的努力で、旧来の湿地が維持管理されている。
20190702155003-4f61c585935987cb62a53d051a1bf7f7b59bd99c.jpg

島田緑地平面図

名古屋市緑政土木局緑地維持課制作のパンフレットから引用

  今回、見つけた色々な自然の一部の写真を下に載せる。案内者の話では10日前までは数十種のトンボが見られたが、原因不明で、現在はほとんどいなくなってしまった。カラスが襲撃したのか? ハッチョウトンボは居る。保全区域の池を反時計時計回りに歩いて観察した。

2019-06-16 10.32.54.jpg 2019-06-16 10.32.16-1.jpg 20190628162516-fad0506bb323d74d091f36d09b72ccdf7efa831e.jpg
保全区域の入り口の池 タヌキモ モウセンゴケ
 食虫植物などが見られた。アメリカザリガニの捕捉かごが設置してあった。
 入り口の池の水面に浮いていた。食虫植物。タヌキモ属(Utricularia)は、シソ目タヌキモ科に分類される植物の一属。世界中の湿地に生息している。黒い粒が捕虫嚢。
 池縁で見かけた。食虫植物、モウセンゴケ科モウセンゴケ属に分類される多年草の1種。葉身はほぼ円形で長い毛が生えている。
2019-06-16 10.41.11.jpg 2019-06-16 10.46.38.jpg IMG_6918.JPG
池縁を奥に登ってゆく 湧水源から湧水が湿地の中の細い沢を流れ下って池に入る。

 シラタマホシクサが咲き始めていた。

 花期は8月下旬から10月、環境庁のレッドリストの絶滅危惧種Ⅱ類に指定。

2019-06-16 10.56.42-1.jpg 2019-06-16 10.57.39.jpg 2019-06-16 10.58.44-2.jpg
ハッチョウトンボの雄と雌 ハッチョウトンボの雌 ハッチョウトンボの雄
右上に雌、左下に雄が同時に撮れた。あまり飛び回らず、じっとしている。体長は小さく、2cmくらい。
 地味な色で回りに溶け込む。目立たなくても雄が見つけてくれる。
 派手な目立ちやすい赤色。動物の世界では雄が派手な色を付ける。雄は小さな縄張りを持ち、静止状態で雌を待つ。
2019-06-16 11.07.31.jpg 2019-06-16 10.24.18-1-2.jpg 2019-06-16 10.25.04-2.jpg
メダカ ヒメツルソバ(外来種) 花の名前は不明
 昔は其処ら中で見かけたが、今はなかなか見かけない。ダツ目メダカ科メダカ属(学名 Oryzias)に分類される淡水魚の総称。
 ドジョウもいるらしい。
2019-06-16 10.52.49-2.jpg 2019-06-16 10.48.10.jpg 2019-06-16 10.47.37-2.jpg
ネジバナ 花の名前は不明 木の名前は不明

 昔の湿地帯で見られた動植物も、他に色々あったが中々把握できなかった。次の機会に写真に撮りたいものだ。

 いつもの散歩で天白公園向けて歩いていたが、途中で今日は土曜日であることを思い出し、島田緑地に方向転換する。島田緑地とは天白区の住宅街にある名古屋市のビオトープである。もともと湿地帯であった所が、宅地造成で消滅しそうになった。そこで名古屋市が湿地帯の一部をポンプで年中給水するようにして、人工的に残したものである。フェンスの外からは何度も見ているが、いままで中に入ったことが無い。土曜日にしか中に入れないからだ。往復で7から8kmくらい歩いたか?

 行ってみると、いつもは閉まっている入り口の網戸が開いていた。中には他に誰もいない(後で気がついたが、垣根の外に立っている小屋に監視員がいたらしい。)。喜んで中に入り、Lumix FZ-10で写真を撮った。

 シラタマホシクサが一面に咲き、サワギキョウなども数本が花をつけていた。昔からこの地域の湿地帯にあった花であろう。天白区では他の場所ではもう見ることは出来ない貴重な花だ。

 池の底には特徴的な赤い泥が見える。アメンボもいる

 しかし、本来の湿地帯の在来種ばかりでなく、雑草なども多そうだ。ヒメツルソバ(外来種?)とかアザミなどの花も沢山咲いている。

 トンボが飛んでいたが、普通のアカトンボ(マユタテアカネ)であり、有名なハッチョウトンボではない。ハッチョウトンボは体長2cmくらいで、もっと小さく、目(複眼)まですべて赤色。

 ハッチョウトンボは8月初旬で姿を消す。モウセンゴケの花も咲くらしいが、今は時期ではない。

 このビオトープが出来てからもう40年近くなるだろうか?まだ、ハッチョウトンボが夏には飛ぶ状態に保っている関係者の努力に感謝したい(年々、数が減っているらしい)。なにせ住宅地帯の一角の狭いビオトープなので、周囲からいろいろな雑草の種が飛んできて、昔の状態を維持するのは大変な苦労であろう。せめて数倍の広さがほしい。21世紀には人々が自然の再生をより望むようになると思う。大名古屋市にふさわしい予算をつけてもらいたいものだ。それが出来るような市長は尊敬されるだろう。

46年ぶりの日蝕

| コメント(0)

 曇りがちだったから、雲を通して肉眼でも部分蝕が見られた。11時04分で最大蝕になるので、ピークの20分前の蝕が撮れた。眩しくもなかったのでカメラでも撮ったが、果たして無謀だったか?センサーのダメージが少し気になる。森の中は特に変わった様子はなかった。鳥の鳴き声もいつもどおり。カラスが立ち尽くしてじっとしていたこと、いつもは吼えないおとなしい犬に吼えられたことなどが変わったところか?犬は何か異変を感じていたのかもしれない。


せせらぎ

| コメント(0)

 久しぶりの大雨で、相生山緑地にせせらぎが回復した。これだけ降ると2~3日は流れが続くだろう。せせらぎ見るとなんだかほっとする。流れの岸辺にひっそりとミズヒキやヤブランなどの野草が花を咲かせている。


相生山の北海道?

| コメント(0)

 今日は相生山緑地の桜並木から炭焼き小屋の横を通って北に入り、「相生山の北海道」と呼ぶ人もいる広大な畑に行ってみた。この畑は相生山緑地(名古屋市が緑地帯として使わせてもらっている)の一部らしいのだが、関係者以外は入らないようにとの標識もあり、おそるおそる畦道を歩かせてもらった。
 一昨日の雨のおかげで、炭焼き小屋の裏にある谷川には水が流れている。オアシスの森や相生山緑地の中では、私の知る限り唯一、しばしば流れが見られる場所である。

P1040813.jpg P1040814.jpg
谷川の手前にある炭焼き小屋 谷川



          相生山の北海道

 相生山緑地の山道の藪こぎを終えて、畑にでたところから畑を見る。遠くにおいてある自動車が白い点(写真の中央奥)のように見える。畑は大きくうねって東の方向(写真の中央奥方向)に下がっている。

千秋家の墓

| コメント(0)

 今日は相生小学校から入り、桜並木の西端から少し南に上がりグラウンドを西によぎり、千秋家の墓へと歩いてみた。墓は明治以降にここに建てられたらしい。千秋氏は古くは藤原南家季範の子孫・熱田大宮司家の流派で、季範の娘は源義朝に嫁して頼朝を生んでいる。千秋家は織田信長から野並をはじめとして3ヶ村を所領としていただいた旧熱田神宮の宮司を明治時代初期まで世襲で務めたとのこと。そうすると、相生山緑地はもとは千秋家の土地であったわけで、その後、土地の所有者がどのように変わっていったのか?なぜ、相生山が現在まで山のままで残されたのか?現在の地主も千秋家由来の人たちかもしれない。興味深い。


 行者小屋(2350m)に一泊した。昨夕は夕立があった。ここ数日夕立があるそうだ。しかし、今朝は快晴だ。山は午前中、特に朝は晴れることが多い。小屋前から横岳、赤岳、阿弥陀岳が良く見える。
 赤岳に登るのに比較的安全なコースは、地蔵尾根から登り文三郎尾根に下りる道らしい。傾斜が30度前後の道を1時間前後で登ったり下ったりできる体力とバランス維持力が要求される。鎖や梯子が整備されているので注意して行動すれば危険は少なく小学生も登っているらしいが、脚力に自信がない向きは登るべきではないだろう。

写真:行者小屋前から見える横岳、赤岳、中山、阿弥陀岳(朝5時)(以下、カメラはPanasonic DMC-FX9)。
 八ヶ岳は南北30Km,東西15Kmの独立した火山群。100~300万年前に噴火してできた。山体はおもに輝石安山岩と集塊岩から成り、広大な裾野は火山灰が堆積してできている。

写真:行者小屋

 行者小屋の近くにある中山展望台(中山乗越、小屋から15分くらい、標高2370m)に登ると中央アルプスや北アルプスの山々が見えた。これほどきれいに見えることはなかなか無いらしい。ラッキーだった。

写真:木曽駒ヶ岳(中央左のピラミッド 朝6時31分)

写真:木曾御嶽山(朝6時31分)

写真:乗鞍岳(朝6時32分)

写真:阿弥陀岳(朝6時34分)

写真:赤岳(朝6時34分)

写真:横岳(朝6時35分)


 岩小谷山周辺は南北約2Kmから成る大岩塊から成っている。日本の原型が形作られた今から2000万年前の地質時代第三紀の後、海底火山が隆起して造山されたと言われる。火山岩の一種の玄武岩(黒色)、石英安山岩(白色)、流紋岩が露出して見られる貴重な場所らしい。これらは硬い大きな岩塊で風化浸食されにくいので 、険しい山容を残している。
 


27のコブ

| コメント(0)

 岩小谷山登り口から鞍掛山降り口まで27の小山(コブ)を越えて行く。足の鍛錬に好都合な山行だ。


赤底の湿地

| コメント(0)

 新池のコンクリート通路上に地下水が流れ出し赤い湿地を作っている。天白区では宅地化が進んだが、まだこのような赤い水底がところどころで顔を出す。30年前くらいの天白区丘陵地には水底がこのように赤い湿地帯が多くあった。そこには今はもう見られないシラタマホシクサやハッチョウトンボが生息していた。

 愛知県豊橋市天伯町の高師原(たかしばら)では「高師小僧(たかしこぞう)」という棒状で芯に穴が開いた褐鉄鉱(かってっこう)が採れる。愛知県指定天然記念物である。鉄分を多く含む土地に生えた植物の根の回りにバクテリヤが造り上げたものらしい。根の痕が芯の穴となって残っている。天白区丘陵地の水底に見られる赤い土壌を形成させているのと同じバクテリヤの仕業か。

岩崎川の川底

| コメント(0)

 岩崎の交差点に近いあたりで、川岸が赤いところがある。


赤い土

| コメント(0)

 水門が湿地の水を制御している。人工的な自然だが、これでも貴重な生物はしっかりと保存できているのだろう。うれしいことである。湿地の水面下に赤い水底が見える。水底が赤いのはこの辺りの土壌が鉄分を多く含む酸性土の所為であり、微生物が反応して赤い泥を生成しているのだ。

 天白公園の南東の1.5kmほどの島田黒石というところにある。新興住宅街の真ん中にあり、ビオトープというものらしい。ビオトープとは「復元された野生生物の生息空間」の意味。 35年以上前にはこの一帯には湿地帯が多く、私も子供と一緒に小魚を捕って遊んだものだ。湿地の赤い土の色を見ていたら昔にタイムスリップしてしまった。ここには日本で最小のとんぼである「はっちょうとんぼ」などがいる。土日にだけ中には入れ、ウィークデーは入れない。

月別 アーカイブ

ウェブページ

リンク

Powered by Movable Type 7.0.1

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうち地学カテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリはゼミです。

次のカテゴリは天白公園です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。