2011年2月アーカイブ

 自民党は戦争直後から2年前まで60年以上保持してきた政治資金も政治権力も失った。自民党員は野党の悲哀に耐え切れず、国が領土を失い、国家間競争の機会を失おうと意に介さず、政策協議を拒否し、権力奪還のための闘争に汲々としている。自民党議員のテレビ討論発言などを見ているとその魂胆が見え見えである。自分はだませても国民はだませない。
 日本経団連の米倉弘昌会長が自民党の谷垣禎一総裁に対し、「今のままなら(国会議員は)給料泥棒」と苦言を呈したことに溜飲が下がる思いがしたのは私だけではあるまい。自民党は民主党の不手際をあげつらうが、出生率をここまで落とし、巨額の借金をつくり、国を破綻の崖っぷちまで引っ張ってきた責任をどう取るのか?いままで改善する機会はたくさんあったのに根本的対策を打てずに来た。ここで政権を再びとったとしても、これらの問題を解決できる能力が自民党にあるとは到底思えない。やはり、ここはプレイヤーを変えるのが多くの国民の願望である。

 それにしても今の谷垣総裁には党首としての器量も資格もない。党内の反乱を恐れて、国民には到底理解できない党内論理を強弁するのが精一杯の党首である。政治家として名を残したいのなら、身を挺して自民党党内を抑えて熟議の国会を実現させる根性を見せよ。

 時の政権と言うのは何時も野党から攻められるものである。かれらは政権を担当していないから与党の政策をこきおろす。しかし、菅さんは政権担当者として国民に希望を持たせなければ成らない。国民に語り掛けなければ成らない。今提案している政策が実行されればこんな良いことが実現でき、国民生活はこんなに良くなりますよと。ケネディ元アメリカ大統領は国民に語りかけ、国民はそれに応じた。
 最小不幸社会というのが菅さんの言葉にあるが、すこしマイナスなイメージがある。むしろ、菅さんが時々使っている「元気な社会」のほうがずっと良いと思う。たくさんの子供を生むことができ、子供の成長と国の成長を楽しみにできる社会。国民が夢を共有できれば日本は再び元気になれる。
 菅さんは国民の努力目標や日本が元気になる政策をどんどん提案すべきだ。
 エネルギー自給社会、食料自給社会などはどうだろう。すべての国民がこれに向けて知恵を絞って努力すれば可能だと思うが、どうであろうか。

 小沢氏の党員資格停止に関して、亀井静香氏が全共闘的粛清だなどといっている。このようなことを言うから政治が混乱する。ここ1ヶ月ほどの小沢氏と党とのやり取りを見ていれば、菅首相の判断もやむをえなかったことは理解できる。それをやらずして野党に反撃の材料を与え、国政を遅らせる方を選べというのであろうか?無理が通れば道理が引っ込むような政治をやっているから、日本の政治はいつまでも混乱を続けているのではないのか?
 もう一つ解らないのが公明党の判断である。法人税減税を25%にと言う主張を自民党と一緒になってやっている。できればそれも良いが、一方、日本の人口を増やす子供手当手に反対している。これこそ重要ではないのか?弱者の味方の公明党はどこに行ったのか?党の存在価値がなくなったのではないか?

 国民は先回の総選挙で民主党に国を託したのだ。少しの不手際は最初から予想されたことである。短期間で政権を取り替えるようなことを繰り返してはいけない。我慢してしばらくはやらせるべきである。
 「最小不幸社会、社会保障と税の一体改革、第三の開国」などのキーフレーズにも菅さんのやりたいことがまとまって見えてきた。今までの自民党ではできなかった新しい視点、市民の目線での政治がある。少なくとも現時点では菅政権の政策は現実的であり、時代に逆行しているような政策は無いと思う。

日本の破綻を座して待つのか

 国際社会の日本に対する見方(元欧州復興開発銀行総裁ジャッく・アタリ氏)は、興味深い。
 日本は改革ができなければ5年以内に破綻する可能性が高い。その可能性が広く認識されると2年以内に破綻が来ると予測している。これは歴史の教えるところだといっている。
 日本は国民の貯蓄だけではやがて公的債務をまかないきれなくなる。海外からの資本投資を促すには金利が上がらねばならない。金利が上がれば日本の借金体質は維持できなくなり、破綻する。やるべきは借金体質を一刻も早くなくすことである。このためには、政府の歳出を年率10%台のカットが必要だし、消費税を上げないといけない。
 やるべきことがこんなに明白なのに国民が選んだ政治家は、支出の削減も、消費税の増税も10年以上も議論ばかりしていて、何もやらない。なぜか解らない。
 やはり国民が能天気で危機意識が無さ過ぎるためではないのか?
 マスコミもまったく手ぬるい。危機感の薄い政治家の尻をたたくキャンペーンをもっと展開すべきだ。今が破綻を免れる最後の機会であることを国民に認識させるべきだ。

 今必要なのは実行できる指導者である。菅首相は現実家だと聞いている。だから与謝野さんを招いた。私は竹中元総務大臣にも協力を仰ぐべきだと思う。そのくらい、事態は待ったなしである。自民党も与党の時代に今日の借金体質を作ってしまった責任がある。協力してやることができなければ、菅、谷垣、山口、福島の諸氏は日本を破壊した無能な政治家として歴史に刻まれると思う。

 日本国債の格付けランキングが1段階落ちた。日本は早く改革の道筋を決めよとの警告である。これをまず認識すること。
 2月9日の党首討論を聞いた。自民党の主張内容はわかった。「民主党が総選挙で掲げたマニュフェストは破綻し国民との約束が守れないのだから、新しくマニュフェストを作り直し総選挙で国民に信を問うべきだ。」と言うものである。民主党の菅首相の主張は「行政の無駄削減に取り組んだが必要な資金には不足だった。消費税を増税するようにマニュフェストを変更するが、増税率などについては与野党の熟議によって決めた後に総選挙で国民に問いたい」という。ところが自民党は民主党に抱きつかれた状態で総選挙をするのは拒絶するといっている。

 それぞれの言い分には一理あるが、国民の多くは一刻も早い政策実施を望んでいる。国民が二大政党を選んだのは、多少の政策の違いの度に政権交代して政策実行を遅らせるためではない。
 筆者の意見としては、民主党は総選挙で4年間の政権を委託されたのだから、その途上で総選挙を経なければマニュフェストを変えられないという自民党の主張は間違っている。
 日本の政権が短期間で変わることが日本経済の停滞の原因であると海外からも批判されている。ここは菅首相が主張するように政策の内容について互いに協議し実行することが最優先課題だ。現在は両党の主張に大差は無い(政策を作っている責任任者が同じ)から、まとめるための議論に参加しない自民党に正義は無い。

 どこかのマスメディアが政党の支持率のアンケートをやった。民主党が減って自民党との差が広がったらしい。自民党がだめだったから民主党、だが民主党もだめだから次はまた自民党。国民はこんなことをやっていて良いのか?数年こんなことをやっているうちに日本はどんどん劣化してしまった。やるべきことを先送りしてさせているだけだ。これを見ていると、選挙民が国を滅ぼすこともあるなと思ってしまう。国の命運を握っているのは選挙民だという自覚が今ほど必要なときはない。

 与党は政党間協議で政策を決めて、実施の前に選挙に問うといっているのだから、今は協議を拒否している野党に正義はない。国家破綻が目前に迫っているのだから、政策を実行させることが必要である。政権交代や党首交代などをやらせて時間を浪費してははならない。

 いまさら政権交代をしたからといって、国家破綻が遠のくわけではなく、かえって早足となって近づいてくる。今求められているのは時間との戦いだ。いまや海外の日本に対する見方が一変してしまったらしい。根源にあるのはリーマンショック後に加速した猛烈な財政赤字だ。日本を取り巻く貿易環境はここ数年で様変わりである。今のままでは、今後さらに環境は悪化することが予想される。日本は開国を迫られており、今こそ大胆な貿易環境の再構築が求められている。こんな事態に際して国がやるべきことは与野党の誰がやっても同じはずである。

 そんな危機に際してさえ、自党の筋論ばかりを言い合っている国会の有様を見ていると、この国は黒船や、敗戦というショックでも来ない限り自分で国を変える事ができないのかと悲しくなる。日本人とはそんな低レベルな国民なのか?

 そんな時に、自民党のOBが民主党に手を貸そうと、立ち上がってくれた。与謝野さん(元自民党 特命担当大臣-経済財政政策担当)、柳沢さん(元厚生労働大臣)である。菅さんは時間を稼ぎ、助っ人にはどんどん計画を作ってほしい。さらに、心ある議員は政党を問わず、党内で声をあげてほしいと思う。これができれば日本は必ず立ち直れる。

 国民の80%が与野党協議を要求している。それに反して野党は与野党協議を拒否している。国民の一人ひとりが声をあげるべきときだ。

 菅さんがマニュフェストを実態に合わせてどんどん変えようとしている。野党だけでなく与党の一部や学者の間からも評判が悪いが、この柔軟性や強引さは変革期の指導者の適性として立派なものだ。周りを固めている若手の見識もしっかりしているようだ。一度言ったからもう変更できないという石頭こそ危険だ。議論が進めば変更の必要性が浮かび上がってくるのは当然だ。しかし、政権交代で新しい視点から問題に切り込んでいるので、変更したからといって自民党案に戻ってしまうことにはならない。

 子供手当ては「コンクリートから人へ」という方針から生まれたものだ。少子化対策として考えられたものだ。少子化対策は現在の日本にとって決定的に大切なものではないのか?野党はそれをどうすべきと考えているのか?その議論をしてほしい。
 財源が出てこないなら、お金の支給ではなく、もの・・・つまり保育所の充実に方向転換しても良いのではないか?要は少子化対策として効果が大きければよい。
 バラマキだ、日本を破壊するなどと批判するばかりではなく、どのようにしたら少子化を止められるかの視点で議論をしてほしい。

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